わずか25㎡!新国立競技場の建築家ザハ・ハディドによる病気の子供の為のスモールデザインとは?

アンビルトの女王が考えるスモール空間とは?
巨額な建設費用で新国立競技場計画が事実上白紙となった話題の建築家のザハ・ハディド。
彼女が手掛けるプロジェクトの多くはとても奇抜で刺激的なデザインです。
アンビルトアーキテクトとしても有名で、実際に建設を断念したケースも多数あります。
その彼女が昨年、深刻な病気を抱えた親元から遠く離れて入院生活を送る子供が親と滞在することが出来る「ドナルド・マクドナルド・ハウス」のインテリアをデザインしました。
ザハ・ハディドらしい流線形
この建物はドイツの第2都市ハンブルグの西部の街アルトナにあります。
室内には、ベッドとソファー、造作家具、ソファーベッドを含む2つの簡易ベッドがあります。
そして木製の造付けの家具は流線型で子供たちが登ったり降りたりと、遊べるスペースに早変わり。
壁にも有機的なデザインが施され、どこか優しさを感じさせます。
スケールの大きなプロジェクトが多いイメージの建築家ですが、こちらはわずか25㎡のミニマムで楽しい空間になっています。
29万㎡と25㎡~主な作品とのギャップ~
ゼロベースでの計画白紙となった、東京の新国立競技場は290,000㎡、実際に完成した北京の「ギャラクシーSOHO」は約330,000㎡。
また個人宅でもモデルのナオミキャンベルの家として有名な「キャピタルヒルレジデンス」は2,650㎡と大規模なプロジェクトばかりです。
一方、「ドナルド・マクドナルド・ハウス」は近未来的でかつ有機的な彼女の特徴はそのままに、25㎡と小さくまとまっています!
僕の考えは以前記事化した下記ですが。新国立競技場の屋根問題もこれで解決?ホログラム活用方法5選
ドナルド・マクドナルド・ハウスとは
「ここは、お家から遠く離れた病院に入院しているお子さんとご家族のための第2のわが家。お子さんの治療に付き添うご家族のための滞在施設です。」(引用:http://www.dmhcj.or.jp/house/index.html)
世界37ヶ国344ヶ所(2014年12月現在)、日本に仙台から福岡まで10カ所あります。
その費用と運営は寄付やボランティアで賄われており、1人1日1,000円と家族への負担を軽減したチャリティー施設です。
また自炊ができるキッチンやリビングなど第二の我が家として安心して滞在できるシステムになっています。
建築予算とデザインの攻防
昔から独特のデザインがもたらす様々な称賛と批判を浴びてきたザハ・ハディド。
その彼女がデザインした、25㎡のミニマムな子供のための空間。
事務所の公式HPによると計画は「Concept」のままで、ドナルトマクドナルドハウスのHPにも内部の様子が映っていません。
その為、今回も日の目を見ることはないようですが、「アンビルドの女王の優しい空間」いつか覗いてみたいものですね。
また来年早々にも着工予定の新国立競技場の建設はどうなっていくのでしょうか?
常に拮抗する建築のデザインと現実的問題の解決の糸口になるかもしれません。
Photo,via:dezeen,zaha-hadid,designroom,jpnsport

WRITTEN BY
HANDIY(ハンディ)
「古いから全部壊して、新しいものを作る」のではなく、住まいにDIYという体験を付加し、感情やストーリーを纏って最適化しながら持続可能な住文化をつくる。
これがHANDIYの目指す世界。