カフェにあるような椅子「スツール」DIYレシピや注意点とは?

山下ユキマル
山下 ユキマル 

今回は、スツールDIYの方法をご紹介します。スツールとは、1人用の背もたれのない椅子のこと。みなさんも普段何気なく使っていることが多いのではないでしょうか。

椅子は長時間座ることもあるからこそ、自分用に使い心地のよいものを1つは用意しておきたいですよね。今回紹介するのは、鉄脚を使ったスツール。

スツールを自分でDIYするためのテクニックや知識をまとめてみました。参考にして愛着がわく世界で一つだけのスツールを作ってみましょう。  


2つの溶接によるスツール制作方法 

 今回制作した2つのスツールです(手前がスギ材、奥がカヤ材)

金属と金属とを直接つなぎ合わせることができる溶接。溶接という手法を使うことによってシンプルで耐久性の高い工作が可能になります。ここでは脚の部分に鉄を使った簡単なスツールの制作方法をご紹介します。 

プレートにスツールの脚を溶接する方法 

  鉄と木材を組合わせてスツールを作る場合、座板の木材を脚部分の鉄に固定する方法を考えなくてはいけません。いちばん手っ取り早い方法は鉄の脚をプレートに溶接して、プレートと座板を木ネジで固定する方法です。 

この方法のメリットは、荷重が木材の座板に直接かからないため、座板が長持ちするという点にあります。また、座板を取り外してほかのモノと気軽に交換することも可能です。

 DIYには家庭用の100ボルトで使えるアーク溶接機がオススメ

溶接するときに使われるのが、溶接機。溶接機にはアーク溶接機・ミグ溶接機・ティグ溶接機などがあります。

ミグ溶接機やティグ溶接機は設備が大がかりになるため家庭用の溶接機としては不向きです。ミグ溶接機やティグ溶接機は主に鉄工所や造船所(ドック)などで使われています。 

DIYには家庭用の100ボルトで使えるアーク溶接機がオススメ。ホームセンターなどで売られている溶接機は、ほとんどがこのアーク溶接機です。最近はインターネットのアマゾンやモノタローで数万円(1万円から5万円)程度で販売されています。

使い方がわからない人は、1時間程度の講習で溶接テクニックがマスターできる溶接講座「ストアカ」、「ランサーズ」があるので利用してみましょう。 

溶接機があると鉄が自由自在に造形できるので、スツール以外にも欲しいものが簡単にDIYできるようになりますよ。 

鉄筋のみでスツールの脚を作る方法  

プレートに脚部分を溶接して座板と固定する方法以外に、鉄製の脚を直接座板に固定する方法があります。 

 構造がシンプルで鋼材が節約できるだけでなく、プレートに脚を溶接する工程がないので、作業時間が短縮できるというメリットがあります。 

デメリットとしては、直接脚部分に座板が乗っかっているので、座板に荷重をかけすぎてしまうと破損する恐れがあります。鉄のプレートで座面を補強していないので、頑丈な木製の座板をあてがうようにしてください。 

まずイメージを描いてみよう

 

どんなスツールが欲しいのか。まずはイメージ図を描いてみましょう。例えば上の画像は実物のスツールを制作する前に描いたスケッチです。 (左:正面図・右:側面図) 

本来はイメージを立体におこしてから、実際の大きさに引きのばしていく作業をします。しかし今回はイメージ図から直接制作にとりかかりました。座板のサイズは普段自分が使っているイスやスツールを参考にすると間違いないでしょう。 

イメージ図をもとにして制作したスツール  

微妙な高さ調節が座り心地を決める 

スツールの座り心地を決める最大のポイントは座面の高さです。

高さ調節ができないスツールの場合、自分にあった座面の高さを慎重に測定するようにしましょう。わずか数ミリ単位の違いで座り心地が大きく変化します。 

 いちばん良い方法は、普段使っているイスやスツールの高さを参考にすることです。普段使用しているイスが少し低いと感じたら、板や雑誌などをお尻の下に敷いて足したり引いたりしながら正確な高さを計測してみましょう。  

スツールには鉄の脚の下にゴム製、または木製のキズを防止するキャップをかぶせます。キャップの厚みも計算しながら高さを計測してください。ふだん座布団を使う人は座布団の厚みも計算に入れるようにしましょう。 

スツールづくりのコツは?

今回のスツールは溶接機と溶接のテクニックさえあれば簡単に作れます。イメージ図にしたがって鉄の材料と座板の材料を用意しましょう。 

脚部分に使用する鉄筋はホームセンターなどで購入できます。サービスコーナーで長さを指定すればカットしてくれるので、あらかじめ適度な長さにカットしてもらいましょう。カットしてもらうことで持ち運びが便利になり、自分で鉄筋を切る工程が減ります。 

プレートに脚を取り付けるスツール 


鉄の部分から組み立てていきます。プレートは最初に座板に固定するための穴をあけておきましょう。次に寸法通りにカットした脚部分をプレートに溶接していきます。このとき、脚を溶接する角度を決めるため仮づけをします。仮づけは、点溶接で脚をプレートに仮に溶接した状態です。  

点溶接で2ヶ所ほど固定(仮づけ)してから、本溶接でしっかりと溶接していきます。本溶接の工程では熱や収縮の関係でまがってくることがあるので、その都度正しい角度に修正しながら溶接するようにしてください。

鉄部分の溶接作業が終わったら、座板のカットと研磨作業にかかります。座板はジグソーで好きな形にカットしましょう。あとはグラインダーなどで角を丸くして、1000番くらいまで研磨していきます。  

座板を好きな形に切り取るジグソー 

座板の角を丸くして研磨するためのグラインダー  

鉄の部品と座板が完成したら互いを木ネジで固定します。最後にフロアに傷がつかないようにキャップをはめて完成です。 

脚部分を直接座板に固定するスツール 

イメージ図にしたがって鉄筋の長さを測定してカットします。カットした鉄筋はイメージ図通りに曲げてください。曲げ加工は本来バーナーで赤くなるまで焼いてから行いますが、9㎜程度の太さでしたら焼かなくても曲がります。 

鉄筋の曲げ加工が終わったら溶接作業に取りかかります。直接脚の部分を座板へ固定するのでプレートに穴をあける工程がありません。脚の部分の溶接作業が終わったら、金具で座板に固定します。最後にフロアに傷がつかないようにキャップをはめて完成です。 

スツールに適した板材は? 

カヤ材 

写真のスツールは座板にカヤ材を使用しています。このカヤ材は京都市左京区大原にある古い製材所で半世紀以上眠っていた板材で、製材所の所長から格安でゆずってもらいました。残りの材はパソコンデスクの天板に使用しています。(以下の画像) 

筆者のパソコンデスク 

カヤ材は使い込むほどに美しい光沢になり、香り成分には防虫効果(蚊をよせつけないことが名前の由来になっているという説がある)があるといわれています。材質は堅く弾力性があるのでスツールの座板に最適です。 

カヤ材の用途としてもっとも知られているのが、将棋盤や碁盤、連珠盤です。特にカヤ材の将棋盤は最高級品とされ、なかには数千万円もする名品があります。 

またカヤ材は水に強いことでも有名です。昔から風呂桶や浴槽、船舶資材として重宝されていました。  

スギ 

スギ材は一般的に出回っているポピュラーな板材です。手に入りやすく、木目さえしっかり選べばスツールの座板として使用できます。 

オーク材 

オーク材は主にナラ(ミズナラ)材のことを指します。特に北海道産のナラ(ミズナラ)材は高級材として世界的に有名です。イギリスの高級家具の中には北海道産のミズナラ材を使用したものがたくさんあります。  

とても堅くて重いのがオーク材の大きな特徴です。家具としてテーブルの天板やイス・スツールの座板など、耐久性が求められる部分によく使用されています。 

オーク材は堅いわりに加工しやすいという特徴があります。また、木目が美しいところもオーク材の魅力です。使い込むほどに光沢が生まれ、美しい木目がにじみ出してきます。 

 家具用のオーク材には北海道産の「ナラ(ミズナラ)」やホワイトオーク、レッドオークなど、主に3種類があります。 

メープル材 

メープルはカエデ科の落葉樹でヨーロッパでは高級家具のほか、バイオリンやチェロといった楽器によく使用されてきました。 

日本のメープル材としては「イタヤカエデ」が有名です。ヨーロッパのメープル材よりも飴色をした光沢があり、家具の材料として珍重されています。 

メープル材の種類には大きくわけて「ハードメイプル材」と「ソフトメイプル材」の2つがあり、スツールの座板には堅くて丈夫な「ハードメイプル材」がオススメです。 

チェリー材 

チェリーとはその名の通り桜の木です。日本では山桜の木を製材したものがチェリー材としてよく使われています。チェリー材は水に強く朽ちにくい性質があり、圧縮や衝撃にも強いため家具用の材に最適です。スツールの座板としてもよく使用されています。 

 チェリー材は高級家具に使用されることが多く、磨いて艶だしを行うことで美しい光沢が生まれます。  

板材の木目選びは「座面に対して水平になるような木目を選ぶ」

水平方向にのびる木目(スギ材) 
画像にあるとおり、座面に対して水平になるような木目を選ぶようにしましょう。座面に対して垂直になる木目は荷重をかけると割れやすいので、スツールの材としては不向きです。  

また座面に対して垂直になる木目の場合は木ネジでの固定にも耐えられません。さらに年月を経るごとにひび割れが生じてスツール自体の寿命も短くなります。 

座面に対して水平になる木目は木ネジで固定しても問題ありません。また、腰かけた際、上からの荷重にしっかり耐えるのでスツールの寿命が長くなります。時間経過にともなうひび割れなども発生しにくいでしょう。  

良い材を見つけるポイントは「古い製材所」 

画像の2つスツールに使用している「カヤ材」と「スギ材」は、京都の山奥にある大原の古い製材所で見つけたものです。社長から格安で売ってもらいました。製材して50年以上経っているとのこと。 

古くて歴史のある製材所には、長い年月をかけてじっくり乾燥させた良い材がたくさん眠っています。みなさんも、スツールに使う材を探すときには、近所の古い製材所や木工加工所を探してみるといいでしょう。 

ただし、最近は街の古い製材所がどんどん廃業しているので古い製材所自体、見つけるのが難しくなってきています。建設現場の大工さんに聞くと教えてもらえるかもしれません。 

スツールDIYまとめ 

今回は鉄と木材を組合わせて作るスツールをご紹介しました。

溶接機があると鉄と木材を組合わせて自由自在にアイアン家具が作れます。スツール以外にも欲しいものが簡単にDIYできるようになりますよ。 

もちろん溶接機がなくても、記事内で紹介したように鉄脚スツールをDIYすることはできるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

山下ユキマル

WRITTEN BY

山下 ユキマル

京都のオフィスと四国の剣山麓(標高1500m)にあるオフィスを行き来する「デュアルライフ」フリーライター。美術大学を卒業後、デザイン事務所や広告代理店などでクリエイターとして活動、現在フリー。只今、剣山麓のオフィスを新しく作りかえる計画の進行中。ちなみに剣山麓のオフィスには大容量高速光ファイバー回線が整備されているので京都オフィスよりも作業がはかどる。

おかねのはなし

塗るものを選ばないチョークペイント

塗るものを選ばないチョークペイント