「芸人×元暴走族総長×DIY」バッドボーイズ佐田さんのDIY論

プロフィール:佐田 正樹(さた まさき、1978年9月13日 )※記事内:佐田
日本のお笑い芸人、俳優。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属、バッドボーイズのツッコミ担当。
福岡県糟屋郡篠栗町出身。身長173cm、体重67kg。血液型A型。福岡第一高等学校卒業。
元・福岡連合二代目総長及び暴走族「幻影」の元総長で、当時の福岡では最大勢力を誇った。かつて福岡少年鑑別所に1か月収容されていた。楽しみはビデオ鑑賞であり、この時に観た『ジュラシック・パーク』に衝撃を受け、現在でも最も好きな映画だという。逮捕されても高校を卒業できた理由は、親が「卒業させてほしい」と要望し、先生が鑑別所にいるということではなく、入院ということにしたためであった。
暴走族を引退してどうしようもない毎日を送っていた佐田が、担任の教師に「将来何がしたいんだ?」と訊かれ、俳優か歌手になりたいと答えると、「お前は歌手ってガラじゃないし、俳優は台詞を覚えるのが難しいから、清人とお笑いやれ」と促され、福岡第一高等学校の同級生で同じく暴走族の「福岡連合」出身の大溝清人と1997年4月に「バッドボーイズ」を結成。
プロフィール:佐藤 駿 ※記事内:佐藤
THE APP BASE株式会社 代表取締役。
長野県伊那市出身 中央工学校 建築設計科卒。
3姉妹のパパ、趣味は将棋、キャンプ。
建築業界(現場監督、設計事務所等)で五年間働いたのち、東日本大震災で価値観が大きく変わり、 WEB業界へ転身、起業と同時に長野県へUターン。
現在、長野県をベースに多拠点(主に東京、福岡)で活動し、DIYメディアコマース&コミュニティアプリHANDIY(ハンディ)運営中!
ナチュラルなDIY英才教育の子供時代
佐藤:そもそも何でDIYを始めたんですか?
佐田:子供の頃から物作りは好きで、それこそ高校生の時にバイク改造したりしてて。
実家が塗装屋なんですよね。
親父の塗装の仕事とか中学校から手伝ってたので、マスキング、養生(ようじょう)、ペンキの塗り方も親父に教わってたんで、全部その要領が分かってて。
隣の家も大工さんで、いつもカンナで木を削ったり、釘うったり、ノコギリの使い方とか全部子供の頃に英才教育されてたんですよね、福岡時代は。
実家の部屋いじるの好きだったんですよ!
東京に出てきて一人暮らしするようになってインテリアとかも凝りだして、っていう流れで結構白黒を基調とした部屋に住んでたんですけど何か落ちつかなくて…
部屋をなんかすっげぇ「木」にしたいなと思いだして。
そこにあるテレビ台なんですけど、5.1chスピーカー内蔵のめちゃくちゃ音いいのを、ジュニアさんに頂いたんですよね。
このテレビ台を木にしたいなー、なんか方法ないかなー?と思ってて、たまたま世田谷通りを車で走ってた時に「GALLUP」っていう店があって、「うわ、なんやここ洒落てんなぁ」と。
古材屋さんで、まぁ色々話ししてて「これこんな感じにしたいんですよねぇ」って言ってたら、すぐ図面書いてくれて「こうやったらカバーみたいな感じで出来ますよ」と提案してくれたんですよね。
「これ作るのに必要な道具がありますか?」って言ったら「インパクトドライバーとビスがあればすぐ出来ますよ」みたいな。
「えっまじっすか、じゃすぐ家帰ってテレビ台のサイズ測ってインパクトドライバー買ってくるんで今から作れます?」って聞いたら、ぼくのことをすっげぇ行動力ある人やなって思ったみたいで、「OK」となって。
それがきっかけでTV台カバーをすぐ作って、1個テレビ台を作ったら何かもう全部木にしたくなりだして(笑)
ほいで色々と作るようになったんですけどね。
それでウォーターサーバーのあれもカバー作ったりとか。
それから何か古材って面白いなって思って。
佐藤:古材いいですよね、僕も好きですね古材。
「人と同じものは嫌い、被りたくない、売ってるものは嫌。」佐田工務店のはじまり
佐田:ほいでなんかもう作るものもなくなってきたんで、引っ越した時に全部DIYやろう思って。
次、引っ越す時は全部壁からやったろう!と思って、だからこれ床もDIYやってるんですけど。
佐藤:床もやってるんですか!
佐田:これクッションフロア敷いてるんですけど、元々は普通のフローリングなんで。
鍵借りてから1週間ちょっとは床DIY時間ですよね。
佐藤:下からやらないと荷物の置き場困りますもんね。
ベースは親父さんの環境から自然とDIYに触れる機会があって、大人になって「点」が一気に繋がって、DIYの道にどっぷりハマったと。
佐田:もう、そうですね、はい。
それで、株式会社ダイナシティコーポレーションの山田さんと知り合って一緒に壁DIYやったんですよ。
この家を一緒に施工担当してくれた人達と打ち上げやったんです。
ありがとうございました!みたいな感じで皆呼んで。
その時に皆で何かやりたいですねー、みたいになって。
DIYのイベントを、また山田さんが持ってきてくれたりとか。
それが実現した形が「佐田工務店」です。
これがきっかけで、佐田工務店が動き出したっていう感じですかね、縁があって。
佐藤:じゃDIYの道に入ったというかメディアにDIYの肩書きで出始めたのは最近の話ですか?
佐田:いや、結構やってたはやってたんですけどね、ずーっと前から。
だから僕はもう8年半位やってますね、2008年位、2007年位かなやってるのは。
佐藤:本職は芸人さんですよね。
「芸人」「元暴走族の総長」「DIY」って軸が3つ今あるのかなと客観的にみてて思ってて。
レイヤーが被るところっていうかはあると思うんですね恐らく。
独自性のレイヤーが被ったところが佐田さんの突出した魅力ですよね。
暴走族の時の流れから、DIYに繋がってるのって単車いじりとかそこら辺のところからなんですか?
佐田:そうですね、まぁいじりたくなるね。
「人と同じものは嫌い、被りたくない、売ってるものは嫌。」
佐藤:だから古材も好きってことですね、一点もの。
佐田:そう、一点ものが好きなんですね。
自分で作った方が愛着も湧きますし、作れる技術を身につけたので、買うのが馬鹿らしくなっちゃうんですよね。
作れるやん、これ!って思っちゃうんですよね。
佐藤:僕も同じような感覚を持っていて、量産品で、どこでも安く買えるような状態になってて、画一的だからちょっと面白くないなみたいなことも思ってて。
ひと手間入れることでオンリーワンになりますもんね。
作り手の独自性が表現されることがDIYの魅力、とてもいいなぁと思って。
僕も実家をリノベーションして住む時に、壁とか天井とか全部引っ剥がして。
ゴミとか出るじゃないですか?
で、これお金かけて捨ててるっていうのって謎だなと思ったんですよ。
経年の味みたいなのってやっぱ既製品じゃ出せないのかなって思ってて。
しかもそれをお金かけて捨てるって謎だなっと思って。
日本住宅の考え方って「古いものには価値がない」考え方が基本だと思うんですけど、僕はその経年劣化とか一点ものにはすごい価値があるんじゃないかなって思って、そこら辺が共通認識としてあるのかなと思いましたね。
佐田:木の年季とか見ちゃいますからね。
そのテーブルもこだわりで。
この木目とか樹齢どれくらいなんやろ?とかやっぱ考えて。
木目で選びますからね。
誰もこんな気付かないと思いますけど、これすごいっすよこの木目、マジで。
普通に買ったら高いですよ。
佐藤:これはどっから調達したんですか?
佐田:これもGALLUPの。
「すっげぇいい木見つかりました!」いうて「えぇ?!」いうて。
これはもうダイニングテーブルにするしかないっすね、みたいな。
佐藤:脚はアイアンですよね?
佐田:脚はアイアンで、はい。
溶接の仲間がいるんで、仲間に作ってもらってって感じですね。
うちのアイアン全部その仲間が作ってくれるんで。
でももう溶接も覚えたんですよ!
佐藤:一人工務店ですね、全部出来ますね。
技術さえ出来れば、あとは自分でアイデア浮かべば作る感じですかね。
「汚すアート」エイジング塗装にこだわり。そのきっかけは?
佐藤:この椅子は違いますよね?
佐田:これは僕じゃないです、塗ってもらいました。
佐藤:佐田さんはやっぱ「エイジング塗装」がすごい目立つなぁと見てて思って。
エイジング塗装とは?
※ペンキや小道具を使用してサビや傷などの経年変化を表現する方法。
やっぱそのエイジングに尖ってるというのは、親父さんが塗装業だったからっていうのはあるんですか?
佐田:まぁそうですね、塗装は好きですね。
やっぱこうセンスじゃないですか、塗装って。
こういうエイジングって特に1番センスが出る部分だと思うんですよ。
どこを剥げさすか?みたいな。
こだわっていくのが面白いですね。
椅子って、「長年使ってどこが剥げ落ちていくだろう?」って考える。
座って背中は擦れていくやろうし、座ると足で剥げていくやろうし、みたいなことを考えながら剥がしていく感じでエイジングしますね。
佐藤:剥ぐ上で、椅子の気持ちになってストーリーを回遊して。
佐田:はい、回遊して作る感じですかね。
佐藤:既製品って当然ですけど綺麗なんですよね、パリッとしてて。
まぁそれはそれでありだとは思うんですけど。
佐田:汚すアートってね、なんかね。
佐藤:そうですね、毎回多分表情も違うんですよね、きっと。
佐藤:この水槽のカバー?もDIYで作られたんですか?
佐田:それ、作ってます!
こだわり抜いた一点ですね。
結構、材料を再利用するので僕。
佐藤:いいですよね。
そもそも木とかって地球の資源じゃないですか。
僕達はお金っていうわかりやすいルールの中で生きてますけど、お金のルールなかったらバンバン量産するのかな?とか思ったりするんです。
リユースってとても大事だなと思って。
HANDIY(ハンディ)運営している理由もそこにあって。
DIYを気軽にやってみて、古材とかに興味出た人がリユースする。
そんな人がちょっとでも増えると、多少は地球の環境負荷が遅らせられないかなと思って。
そんな意図もありながらやってますけど多分ほとんど伝わってない(笑)
材料費9万円の壁DIY
via:佐田工務店
佐藤:この壁のDIYは大変ですよね?
佐田:まぁ、でも1日で終わらせましたけどね。
朝の9時にスタートして夜中2時まで掛かりましたけど(笑)
この手作り感が、またいいなって。
業者さんに頼むと、木材と木材の間のスペースぴったりやるじゃないですか。
でも、この空いてるのがまた味で。
全部これもペンキ自分で塗って、ペンキ塗りだけで1日2日やりましたね。
材料費全部で9万しか掛かってないんですよ。
9万でこの壁やったんですよ。
こんなん業者さんに頼んだら、なんぼ掛かるか分かんないですよ。
佐藤:100万位掛かりますかね、これ。
僕、現場監督だったんでなんとなくわかりますけど、施工費が高いんですよね。
壁はディアウォールで下地作って?
佐田:そうそう、つっぱり棒のようなディアウォールを立てて、そこにベニヤ板張って下地作って。
佐藤:賃貸ですもんね、ビスで打ち付けても大丈夫なようにしないと。
佐田:そうそう、なに打っても大丈夫。
こんなんとかも打ち込むし。
マネージャー:知識なくてやっちゃったら、ばーって倒れてきそうやな。
佐田:これ天井が斜めやから結構テクニックいるけど、斜めじゃない普通の天井だったら普通簡単やで。
物件見ても、賃貸でもまず、どうリフォームしようか?から入っちゃうんで基本は。
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HANDIY(ハンディ)
「古いから全部壊して、新しいものを作る」のではなく、住まいにDIYという体験を付加し、感情やストーリーを纏って最適化しながら持続可能な住文化をつくる。
これがHANDIYの目指す世界。