「180枚のドア」で作られた異空間を見たことがある?

「180枚のドア」だらけの奇妙な外観
“パヴィヨン・シルキュレールPavillon Circulaire”(巡回する家の意味)と名づけられたこの建物。
全面がドアの柄になっていて、なんとも不思議な外観です。
Photo:Cyrus Cornut
実はこれ、すべて本物のドアなんです。
パリ19区にある公団アパートの改修にともなって交換された古いドアが使われているのだとか。
その数なんと180枚!
屋根の形も特徴的ですね。
ほとんどが廃材!
外壁のみにあらず、建物のほとんどが廃材や不要になった建材でつくられているというから驚きです。
夏にセーヌ川沿いで開かれた、セーヌ川を海岸に見たてたイベント“パリ・プラージュ”で使った木板をウッドデッキに使用しています。
床や内壁には、展示会場で作品を飾っていたパネルを、防音材には工事中のスーパーの屋根に敷いていたウールを。
発注ミスで生まれたデッドストックのガラスや、工事中・終了後に余った支え木、ぶら下がっている照明は道路から外された街路灯をリメイクしたもの。
面白いことに、内壁の一面に“どんな建材がどうやって使われたのか”がイラストで描かれているのです。
Photo:Cyrus Cornut
中で使っている50脚の椅子も、ごみとして捨てられたものを修理・リメイクしたそうです。
骨組みと防水シート以外は、すべて廃品や余った建材というから驚きですね。
これは、パリ・アルスナル建築博物館がごみ問題や環境問題を訴えるひとつの方法として企画したもの。
パリで開かれる“国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)”にあわせた展示です。
2016年1月3日までこのパリ市庁舎広場に展示された後、パリ15区のスポーツセンターのクラブハウスになるとのことです。
展示期間中は、環境や建築、リサイクルなどに関する討論会やイベントを開催。
余った木材を使ったオブジェ作り教室なども行われたそうです。
入場無料でカフェにもなっていますので、年末年始をパリで過ごされる方は覗いてみてはいかが?
Source:contemporist
Photo:Cyrus Cornut

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HANDIY(ハンディ)
「古いから全部壊して、新しいものを作る」のではなく、住まいにDIYという体験を付加し、感情やストーリーを纏って最適化しながら持続可能な住文化をつくる。
これがHANDIYの目指す世界。