「住みたいところに住んだらええやん」 DIYで、”住まい”の間口を広げる。【こっすんインタビュー】 

HANDIY(ハンディ)
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不動産業を中心に、京都で独立して働いている小杉亜李羽(こっすん)

所有する賃貸物件の一部は、自分自身でインテリアデザインをするだけでなく、DIYまで行っている。

インスタグラムにあがる写真には、インテリアやホームパーティーのおしゃれな写真に混ざって、作業着姿でDIYをする彼女の写真が載っている。

この写真は、京都市内のシェアハウスのDIYを作業している様子。

法人や個人の外部マネージャーを務めるかたわら行うDIY。

現場に行けるのは、週1回程度。

詰めて作業すれば2週間で終わる内容でも、2〜3ヶ月の時間かかってしまう。

彼女が、わざわざ作業着に着替え、時間をかけてDIYをする理由は、なになのか?

まずは、少し話をさかのぼり、現在の仕事をはじめたきっかけから教えてもらった。

独立して働くきっかけは、「めぐり合わせ」

こっすんが、独立する前に働いていたのは、住宅業界。

「キッチンが好き、生活のアドバイスが出来そう」そんな理由で選んだ営業職だった。

そこで仕事をしていくうちに、範囲を広げ、設計士さんが普通はするような仕事までするようになった。

例えば、自分で図面を描いてお客さんに持っていくなど、一度きりではなく、そんなことばかりをしていた。 


(現在のこっすんが描いている図面)

図面を描いてばかりいて、上司に怒られたこともあった。

建築士の資格をとりたい想いとともに、激務で精神的にも限界がきた。

彼女は、会社を退職。

定職にはつかず、建築士をとるための学校通いをはじめる。

それからしばらくたったときに、祖父が亡くなった。

彼女は、そのとき初めて、祖父が不動産物件を所有していたことを知る。

そして、残された物件の扱いに家族が困っていたとき、たまたま家族の中で自分だけに不動産の知識があった。

「せっかくだから、なにかしたいな」、そう思って始めたのが、今の仕事。

祖父の所有していた東京の物件を売り、それを元手に関西での仕事をスタートさせた。

「めぐり合わせ」のようなはじまり方だった。

「神様のお告げじゃないが、そういうタイミングみたいなもの。あれ、いまこれをするチャンスかもしれない。」そんな体験だった。 

”住んでほしい人、貸したい人”のイメージを明確に

物件を購入すると、賃貸に出す前に、リフォームが必要になってくる。

一般的には、リフォームは外注にだすのだが、彼女が現場で感じたのは「あれ?これ自分でできそうじゃない」という直感。

どうしても自分でできない作業のみ外注して、あとはDIYでリフォームをすすめていく。

そこでお金を浮かすことで、儲けにまわすのではなく、家賃設定を下げて、安く住んでほしいと思ったのだ。

結果的には、どんな人が住むかはわからないが、彼女には、”住んでほしい人、貸したい人”のイメージがある。

“こうあるべき”に苦しめられていた自分

こっすんが前職の住宅業界で販売していたのは、新築の物件だった。

そして、その新築のお高い家を購入するお客さまは、「典型的な、いいご夫婦」。

絵に描いたような幸せな家庭。

20代の中頃、仕事で「いい家庭」を目にする中で、いつの間にか「自分はこうならないといけないんだ」という思い込みに苦しめられていた。

結婚を考えられるパートナーと出会えず、周りからは、いつ結婚するのか問われる中で、焦りを感じていた。

良い結婚をしないといい場所に住めない。

そのために、自分もちゃんとしないといけない。

私はずっと狭いワンルームに住まないといけないのではないか、そんなことを考えると、すごく辛かった。

その辛さから出られたきっかけが、今の仕事をはじめたタイミングと重なった。

新しい生活の中で、多様な生き方をする人たちに出会い、生き方や価値観が変わっていった。

”こうあるべき”がなくなっていった。 

結婚をしないというパートナーシップの在り方

出会いがくれた新しい価値観。

今のパートナーに出会って、結婚観も変わった。

”結婚”に縛り付ける必要のないくらい信頼できる人”に出会ったのは、初めてだった。

結婚をしないという新しいパートナーシップの在り方。

ある程度の年齢に結婚して、よきときに家を建てて、定年まで勤め上げる。

その感覚から離れていったときに気づいたのが、新しいパートナーシップを持つ人たちが抱える「住まい」への不安感。

例えば男の人の二人暮らし。

今でこそ、ルームシェアという概念が広まってきたが、それでも赤の他人、兄弟でもないとなると、物件が探しにくいこともある。

場合によっては、秘密で二人で住むという選択をする人もいる。

一緒にローン組みたくても、組めない。

制度として助けてもらえない。

今の日本社会では、自分のように、結婚という一般的な形にとらわれてない人が快適に住めるところは、実は少ないのではないか。

自分の中で、”生き方”と、”住まい”がリンクしていった。

「そういう人が楽になるようなことが、自分にはできるんじゃないかな」

”少しいいところに”、”今どきなデザインの部屋に”

会社員時代の自分が一人暮らししてたときの家賃と同じくらいの金額で、広い部屋に、長く住めるようにしたい。

結婚を選ばないカップルや、シングルマザー、LGBTのカップルが気兼ねなく住める家。

”少しいいところに”、”今どきなデザインの部屋に”を、いろんな人の手に届くようにするためのDIY。

施工を自分ですることで、家賃を安く設定することができる。

自身が流行り好きだとういうこっすん。

内装を考えるとき、自分のように”流行り好きで、インスタ映えも気になる人”をターゲットにしている。

特にイメージするのは、”家に人を呼びたい人”。

家に来た友達に、「いいやん、ここ!」と言ってもらえるくらいのデザイン。

それでも、長く付き合っていく”住まい”として「時代が過ぎたらダサいとならないあっさりさ」を気をつけている。

持ち前の器用さで、独学DIY

DIYに入る前、絵をかくところから始める。

書いてみて、そこから技術を補完していくのだ。

やったことがないDIYでも、やってみたらなんとか出来る。

なんとなくこういうふうにやるんじゃないかと想像がつく。

こっすんの強みは、持ち前の器用さ。

そのレベルは、保育園のときに立体のお面をつくるほど。

昔から、つくることが得意だった。

今は、建築士の資格はもっていて、知識もある。

それでも、ネットワークを活かして、プロから教えてもらうことも欠かさない。

壁紙の問屋さんで商品を買ったときには、壁紙の貼り方を教えてもらったり、元大工だったパートナーに、タイルの貼り方を聞いたりしている。

あとは、現代の強い見方”WEB検索”。

WEBで調べれば、分からないことはない、とか。

そこから気になる技術は、まず実践する。

DIYの練習場は、自分の家。

賃貸物件ならではの”現状回復はどの程度できるか”などを、自分の目で確認していく。

試すのは、”現状回復できるDIY” 

最近のDIYの実験風景。

壁に大きなマスキングテープ貼って、そこにペンで文字書いているので、テープを剥がしたら、元どおり。

壁に穴あけずすむように、ひっつき虫(固い”ねりけしくん”のようなもの)を使い、壁にフックをつけたり、絵を貼ったり。

賃貸物件だけではなく、期間限定の店舗デザインなどにも活用できる。

結婚しなくても、住みたいところに住んだらええやん

「結婚しなくても、住みたいところに住んだらええやんって、まずは昔の自分に言ってあげたい。」

そう話す彼女が、今は自分以外の人たちに向けて、”住まい”を楽しむための間口を広げている。

自分が感じてきた苦しみから生まれたDIYという発想。

「もともと自分は創る側の人間だったのだと思う」というこっすんは、試行錯誤する日々を楽しんでいるようにみえる。

取材協力:小杉亜李羽(こっすん)

ライター:坂下佳奈(だむ)

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HANDIY(ハンディ)

「古いから全部壊して、新しいものを作る」のではなく、住まいにDIYという体験を付加し、感情やストーリーを纏って最適化しながら持続可能な住文化をつくる。

これがHANDIYの目指す世界。
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