「新築orリフォーム」メリット/費用/税金にいたるまで徹底比較!
新築は、既存の家を解体して、同じ土地に新しく家を建て直すことです。
そしてリフォームとは、家の基礎部分や構造体は残したまま、新たに内装や間取りを自由に変えていく施工のことを指します。
今回は、建て替えとリフォームそれぞれのメリットやデメリット、具体的な費用等の条件を比較しながら、自分のライフスタイルに合った家づくりについて考えていきたいと思います。
建て替え(新築)とリフォームの違いは?
家の築年数が古くなってくると、内装の劣化やライフスタイルの変化による使い勝手の悪さが気になる方も多いのではないでしょうか。
その時に考えられる選択肢としては、大きく分けて、建て替えとリフォームの二つがあります。
建て替えは自由度と安全性が高い
建て替えは、住宅の基礎部分から新しく作り変えていくため、間取りや内装を好みに合わせて自由に設計できるのが何よりの魅力と言えるでしょう。お年寄りの方やお子様がいても安心なバリアフリー仕様にしたり、断熱や耐震の性能を向上させたりすることで、家の住みやすさを格段に上げていくことができます。
行政から検査済証も交付されるため、安全性が保証された建築物であることを確認しながら工事を進めていけます。
また、リフォームに比べて多額のローンも組みやすいので、費用の工面もしやすいです。
建て替えは費用がかかる
建て替えのデメリットは、費用がかかってしまう点です。
間取りや内装の設計費用や工事費用に加えて、解体費用、施工中の仮住まい費用や引越し費用、固定資産税や不動産取得税といった税金など、各種費用がかさんでしまいます。
土台からまるごと造り変えるため、工事期間が長期間になることも、トータルコストの高さに拍車をかけていると言えるでしょう。
リフォームは自由度が低く時に高額
リフォームは、住人が生活しながら施工することがほとんどであるため、劇的に間取りを変えることは困難です。
また、建築物そのものの老朽化や劣化が著しく進んでいたり、構造補強といった細部のフルリフォームまで行ったりする場合は、建て替えよりも費用がかさむことがあるので、注意すべきでしょう。
建て替えの内容は?
それでは具体的に、建て替えとはどういったものなのか見ていきましょう。
大規模に設備を変えられる建て替え
建て替えは、建築物の土台を含めたすべてを取り壊し、基礎部分から新しく作り変える工事であることが大前提です。
元の間取りや設備に対する不満点を一気に解消する機会でもあるため、デザインや使い勝手を劇的に改善させたい方は、建て替えが向いているかもしれません。
また、建築基準法等で定められた耐震基準は、1981年6月に法律が改定されたことで大きく変化しました。
改定以前に建築された住居は旧耐震と呼ばれ、現行の基準である新耐震に適合しない場合があります。
そのため、築年数が古い建物だと大規模な耐震工事が必要となることも多いので、土台から変える建て替えは有効な手段と言えるでしょう。
費用は90年間で7800万円
一般社団法人の住宅リフォーム推進協議会の試算によると、建て替えに関する費用は、90年間で総額7800万円かかると言われています。
新築時の工事費用を2000万円と想定し、メンテナンス工事を10年ごとに各300万円、30年ごとに2000万円の建て替えを行った結果の概算です。
メンテナンスの内容は、外壁や内装の補修、シロアリ対策や防水加工、給湯器等の水回りの施工、パッキンの交換といった、生活基盤の設備を保持するのに必須の工事となります。
リフォームの場合は90年間で5200万円と言われているので、2600万円ほどの差が出る結果と言えるでしょう。
仮住まい経費と税金も必要
建て替えの場合は、このような改修費に加えて、工事中の仮住まい費用や引越し費用、不動産取得税や固定資産税、都市計画税、登録免許税といった各種税金がかかってしまいます。
だからこそローンが組みやすいシステムとなっているので、ご自身の状況に合わせて選択していくのが良いかもしれません。
工事中でも固定資産税は払う
固定資産税は、家屋の所有者に課される税金であるため、その年に取り壊している最中の住宅にも課されます。
新築の家屋は完成の翌年から課税される決まりですが、土地の固定資産税に関しては支払う場合が多いので、注意が必要です。
検討目安は築20年
税法上、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています。
そのため住宅が築20年に差し掛かり、建築物そのものの老朽化が気になる場合には、建て替えの検討をおすすめします。
二世帯住宅など、ライフスタイルの変化に合わせて間取りを変化させたい場合にも、適切な選択と言えるでしょう。
間取りは自由選択もカタログ選択もあり
住人の加齢と共にバリアフリーが必要となったり、子世帯と同居することになったりした場合、大規模な間取りの変更をすることになります。
その際、建て替えにも二つの選択肢が存在しています。
一つは、間取りや部材にいたるまで自分で決められる自由設計タイプの建て替え。
第二に、カタログの中から適切な間取りを自分で選ぶ規格住宅タイプの建て替えです。
住宅に対するこだわりが強い人も、複数人でカタログを見ながらデザインを選びたい人も、それぞれの需要に合わせた選択が用意されているので、十分に吟味することができます。
工期は長くて半年
建て替えの工期は、3か月から半年ほどかかるとされています。
工期が長くなるにつれて、仮住まいの賃貸費用や、施工に取り組む職人さんの日当がかかってしまいますが、現場作業する方とコミュニケーションを取ることで、結果的に完成度が高くなる場合もあります。
引越し後に工事開始
建て替え工事では、設計プランの設定を行ってから仮住まい探しや解体業者を探す必要があります。
住人が完全に退去しないと、地盤調査や地盤改良といった基礎部分に手を加えることができないためです。
そのため、間取りや内装といった設計プランを固めてから、解体業者や引越し業者を決定し、片付けを完全に済ませた後で工事に取り組むという流れになります。
リフォームの内容は?
それでは、リフォームの内容も具体的に見ていきましょう。
あるものを有効活用する小規模工事
リフォームは、新しく一から土台を作っていく建て替えとは異なり、既存の家を有効活用していく工事です。
キッチンや浴室、トイレ等の水回りや、壁、柱、梁、窓、階段といった、生活の基盤となる設備の改修、移動も含めて、家の内装や外観を補強したり改修したりすることができます。
大規模に間取りを変える場合や、家全体の耐震補強を行う場合には費用がかさむこともあります。
建て替えよりもトータル経費がかかる場合もあるので、現在の家の状態やライフスタイルに合わせて選択していきましょう。
費用は90年間で5200万円
住宅リフォーム推進協議会の試算によれば、リフォームは90年間で総額5200万円かかると言われており、建て替えに比べると約2600万円安く済みます。
建物の性能や耐性の向上といった長寿命化リフォーム費用の1000万円に加えて、定期的なメンテナンス工事を10年ごとに行うと想定した結果の概算です。
また建物の構造体がひどく傷んでいる場合、リフォームだけでは費用がかさむこともあります。
たとえば住宅の地盤が緩んでいたり、傾きが観測されたり、柱や土台のヒビやゆがみ、腐食、シロアリ被害が深刻な状態だと、建て替えを検討した方が良いかもしれません。
人件費と事務処理経費も必要
リフォームでは、複数の工種が同時並行に進む場合が多いため、改修費以外にも事務処理に関する経費や人件費が必要不可欠です。
発注主の希望や住宅の現状に沿った工事になっているかどうかを判断するため、現場監督員の存在は重要と言えます。
また、公的機関に提出する書類作成や申請手続きを行うための人件費も必要となるため、諸経費として計上されます。
固定資産税は変化しない
リフォームをすることで固定資産税が変化することは、ほとんどありません。
住宅に住み続ける上で必要な補修だと判断されるため、増築といった大規模な面積の変更がない限りは、今まで通りの税額で済みます。
築20年から30年で検討
リフォームは小規模な工事で済むことも多いため、築1年の物件で行う人もいます。
大切に扱っていれば長年そのままでも住み続けられますが、築20年から30年に差し掛かると、水回りの設備や内装がどうしても劣化してしまいます。
こまめなメンテナンス工事を行うことで、故障や老朽化によるトラブルも防ぐことができるので、20年目を迎えたらリフォームを検討することをおすすめします。
間取り変更に制限があるリフォーム
大規模な間取り変更をしないまま、修繕が必要な一部分のみを改修できるのがリフォームの魅力です。
一方で、間取りを大幅に変えたい人にとっては多少制限が出てしまうことも多いので、お好みに合わせて選んでいきましょう。
工期は数日から数週間
リフォームは、家の状態や工事内容によっても左右しますが、最短で1日、長くとも数週間かかると言われています。
工事の流れ
リフォームは、ショールームやカタログなどで情報収集をした後、施工店に相談し、実際の工事を開始する流れが一般的です。
家の内装や外観をどのように改善したいのか、という希望や優先順位を明確にして、リフォームの目的を明確にしておくと、具体的なイメージもしやすくなります。
新築がおすすめのケースは?
それでは具体的に、新築かリフォームかえお判断する時は、何を基準にしていけば良いのでしょうか。
それぞれの条件を比較検討していきたいと思います。
しっかりした構造の中古物件がないとき
一部分のリフォームだけで済むような、建物の構造体がしっかりした物件が見つからない時は、建て替えがおすすめです。
既存住宅の間取りと理想のギャップが大きいとき
自分のライフスタイルに合った間取りに変えたい場合や、バリアフリーを目的とした大規模な改修を行いたい場合も、新築が適していると言えるでしょう。
予算があるとき
建て替えのデメリットとして挙げたトータルコストの高額さですが、十分な予算があるならば話は別です。
隅々まで自分好みに家を改修できる建て替えは、家を長持ちさせる手段として有効だと言えます。
リフォームがおすすめのケースは?
ここでは新築よりリフォームした場合の方がオススメなケースを紹介していきます。
新築予算より低価格で済むとき
既存の住宅を有効活用するのがリフォームの大前提なので、水回りや壁、柱といった大規模な間取り変更をする工事をするとなると、新築よりもコストがかかってしまうこともあります。
思いがけない予算がかかってしまうことを避けるため、リフォームする目的や希望の設計デザインを、事前に明確にしておくべきでしょう。
住みたいエリアに新築がないとき
自分が住みたい地域に新築物件が存在しない時も、リフォームがおすすめです。
実際に物件の近くまで足を運んでから判断するのが良いかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
自分が住む家を今後も大切に守っていくことを考えると、建て替えにするかリフォームにするかというのは重要な選択ですよね。
住宅の現状や、どのように改修したいのかといった目的に応じても状況は変わってくるので、施工会社やご家族と十分な相談をしてから工事に取り組むことをおすすめします。